垂涎の美酒
長女が入籍することとなり、先方のご家族に会いに岡山県倉敷市まで行ってきました。
実は数年前から事実婚状態で、先方のご両親にも娘のように可愛がって頂いていたのですが、今回入籍するにあたり、一度きちんとご挨拶しておこうと、お伺いしたのです。
ご両親は私たち夫婦より一回り程お若く、スポーツ一家でキビキビ・サバサバしておられ、とても気さくな方たち。娘が、実家よりはるかに居心地がよかったのも道理です。
ありがたいことですよね。親としてこれほど幸せなことはないと思います。
宴席は、普段着で気軽にとのことだったので、安心してお招きに預かったのですが・・・
お兄様が懇意にされているお店だそうで、日曜定休なのに、私たちだけのためにわざわざ開けて下さり、店主や板長じきじきに、料理やお酒の説明をして下さったのです。
料理が美味しいのはもちろんですが、器にも凝られているそうで、それぞれの料理に合う器に美しく盛り付けされていました。
そして日本酒!
夫が「お酒が好き」だと事前に知らせてあったのでしょう。次から次へと酒好きなら垂涎モノのお酒が運ばれてきました。
都度、猪口も変えてくださり、極めつけは波佐見焼、丹心窯の水晶彫り青海波。
料理の最後に、店主とっておきの日本酒をふるまってくださったのですが、その時の器がそれだったのです。(ああ、写真を撮り損ねたのが残念です!)
いい加減酔いが回っている夫が、ひょっと落として割りでもしないか、とヒヤヒヤものでした。
それにしても、最高の器で嗜む最高のお酒…う~ん、お酒が飲めないって、やっぱりソンですよね~。
ちょろりと舐めさせてもらいましたが、下戸の私でも思わず「美味しいっ!!」
宴席は昼間だったので、終わった後は夫婦二人で倉敷美観地区を見て回る予定でしたが、 雨女の私はやっぱり雨にたたられて、せっかくの美観地区、あまり見ることはできませんでした。
写真を数枚撮り、お土産をいくつか買った後、岡山駅に戻り、
新幹線の発着迄の3時間余を待合室で過ごすことに・・・。
勿体ないといえば勿体ない過ごし方だったのですが、夫は酔いが回っているし、私も疲れているし、待合室はフリーWi-Fiで(今時どこもそうでしょうが)時間を潰すのはわけなかったので。
さて、帰宅してホッとしたとたん、
なんだかわけもなく、涙腺が緩み・・・
やっぱり、これって寂しさなんだろうなぁ。ひたひたと、いや、しみじみと、かな。
喪失感は大袈裟だけれど、なんともいえない寂寥感。
娘は大学からずっと向こうで暮らしており、そのうえ事実婚状態だったのですから、いないのが当たり前の夫婦二人の生活を何年も続けていたのです。
今更寂しいも何もないはずなのですが、理屈の上ではそうでも、やっぱり・・・ね。
紙切れ一枚が
齎した
こそばゆい寂しさ
暮らしはなにも
変わらないのだけれど